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著・山本文緒

この小説ちょっと凄かったです。
ものすごく引き込まれました。

平和そうにみえても、一歩踏み込めば「異常」としか言えない家庭というのは世の中にいくらでもあるものですが、この物語の登場人物達の家庭もまさにそう。

周りから見ればどんなに異常な家庭環境であっても、その世界にいる人間にとってはそれが全てで、家庭の外の常識など意味を持たない。

極普通の家庭に育っていたら理解出来ないような家庭環境をすんなり納得させてしまうのは、ちゃんと理由が描かれているからだと思います。

肉親であっても、本当に憎んだり恨んだりするコトは、そう珍しいコトではない。
本気で復讐するコトだって出来る。
それが理解出来ない人はきっと普通に幸せな家庭に育っている証拠。
その分、良くない家庭環境で育った人にとっては、自分の状況とは違えど傷をえぐられる様な暴力的な物語かもしれない。


人間と言うのは良くも悪くも適応能力に優れている生き物であるというコトが皮肉を込めて丁寧に描かれていて、かなり面白かった。
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著・唯川恵

ずっと想いを寄せていた男性が、自分の親友と結婚。
けれど結婚して間もなく、彼と自分は元々想い合っていた事実が発覚。
しかも二人の想いが通じ合わなかったのは、他でもない親友の裏切りによってだというコトを知る。

事実を知り、二人は純粋な気持ちで付き合い始めるが、彼は今や既婚者。
本来なら彼と恋人になり、結婚して夫婦という関係になっていたのは自分だった筈なのに、周りから見れば不倫以外の何物でもない関係。
最初は彼と想いが通じ合っただけで幸せだったが、次第に「こんな筈ではなかったのに」という思いに苛まれ、徐々に暴走していく。



普通に面白い作品でしたが、登場人物の個性が薄い気がしました。
どの登場人物も割りと冷めているというか。
描く人によってはもっと激しく切ない、またはドロドロな不倫物になっていたかと思いますが、案外あっさりとしていました。
狂王の庭

著・小池真理子

裕福な家庭に育ち、ありふれた結婚生活をおくる女性が、実の妹の夫になることが決まっている男性と強く惹かれあい愛し合う物語。

戦後間もない日本を舞台に繰り広げられる、まぁ一言で言えば「不倫」物です。
恋愛も結婚も現代より制限された時代なので、そこに巻き起こる恐怖や苦悩が、とてつもなく重くのしかかる。

気が変になりそうな程の愛の深さに躊躇いながらも魂が引き寄せられ、常識も道徳も意味を失ってしまう。
許されない関係だけれど、それは紛れも無く何よりも純粋に、ただひたすらに恋でした。


とても夢中になれる作品だったと思います。

著・宮本輝

水の都バンコクが舞台の長編小説。

タイ人で王家の血を引き、内閣の官僚である男性に見初められた美人の日本人女性。
このままタイで生活し彼と結婚するのか、それとも区切りを付けて日本へ帰るのかを迷う主人公の心の葛藤を描いた物語。

全体を通して恋愛色の濃い作品でした。
いくつもの恋が複雑に交錯し、タイならでは(といって良いのか解らないけれど)の男色家も多く登場するので、ちょっと理解しがたい部分も多かった。

全体を通してみると恋愛物なのだけれど、ひとつひとつが結構淡白。
こういう部分が男性作家さん的だなと。

政治問題も絡んでくるので、ちょっとややこしい部分も多かったけれど、水の都バンコクの熱気や湿気が伝わってくるような風景描写、そしてタイの習慣についてさり気なく勉強できるところが面白かったです。

著・林真理子

恋に迷い悩み生きる女性を描いた短編集。
生々しくドロドロした雰囲気が女性作家さんならではな感じで凄く面白かった。

女という生き物は恋愛が絡むと可愛くも恐ろしくもなれる生き物だなぁと。
そしてそういう女性程、恋に夢中になり盲目になっているコトに全然気付かないものですが、そういう部分の描き方が鋭くて良かった。

この本を読んで「恋したいなぁ」とは思えないかも(笑)

小池真理子/唯川恵/室井佑月/姫野カオルコ/乃南アサ・著

個性豊かな女性作家さん達の短編小説集。

どれも女性らしい甘く艶かしい物語で面白かったです。

特に印象に残ったのは姫野カオルコさんの「桃」という作品。
物凄く惹きこまれた。
霧が晴れるように真相が姿を現す、その瞬間の衝撃が凄かった。
淡々とした文章なのに激しくて、読んだ後もドキドキの余韻が残る作品でした。

村山由佳・著

物凄い短編。ま、普通に面白かったです。
映画とのコラボレーション的な小説らしいです。
人物の台詞の感じが凄く独特だなぁと思った。

小説本編よりもそのあとの長いあとがきが面白くて笑った。

小説家の先生ってやっぱ変わった方多いなぁって。

村上春樹・著

村上氏の代表作とも名高い作品。

読んでみて、とりあえず読んで良かったと思った。
また読みたい作家さんが増えたなと。

15歳で家を出るコトを決めた少年が巡り合う運命の物語。
点在する想いが徐々に線となり繋がっていくまでの過程で起こる様々な出来事は奇妙であり純粋であり、形容し難いショックのようなものを何度も与えられる。

一言で言えば「現実的なのに不思議な物語」。
謎は謎のままで、落とすところは落としたままで。
だけどちゃんと救いもある。
読む人によって好き嫌いも分かれる作品だと思いますが、文章はとても読みやすかった。

登場人物の中の大島さんが素晴らしすぎる。
この人に出会う為にこの小説を手にしても損はないなって思った。

とにかく夢中になれた1冊でした。
これからも村上氏の他の作品を読んでみようと思う。 

村上春樹/文 佐々木マキ/絵

村上氏の作品を読むのはこれが初めて。

今までに何度か本屋さんで手に取ったものの、男性っぽい固い文章に躊躇し続けていました。
たまたま家にこの「羊男のクリスマス」の文庫本があり、元が絵本らしくイラスト付きで文章も短く読みやすかったのでさっそく読んでみました。

普通に面白いというか、変な世界がなかなか素敵に描かれていて良い感じでした。
イラストの可愛さもあり、結構楽しめた。

これから色々読んでみようと思う良い切っ掛けになりました。

宮本輝・著

大阪難波から少し南の「夢見通り」という商店街を舞台に、そこに住み働く様々な登場人物の物語がオムニバス形式で綴られた作品。

最近ちょっとオムニバス作品に縁があるなぁと思いつつ。
凄く面白くてあっという間に読んでしまいました。

癖のある変な登場人物ばっかりで「馬鹿だなぁ」と思いながらも憎めない。

人と人との繋がりが希薄である現代にちょっとした刺激をもたらすような作品。

よしもとばなな・著

ばなな先生の「旅」についてのエッセイ。

めちゃくちゃ良い本でした。

旅の場所でのあれこれも良い感じに書かれていますが、それ以上に心の変化や思うコトを丁寧に、実にばなな先生らしい言葉で綴られていて、とても幸せな気持ちに沢山なった。

色んなところへ旅をしたいな、と思うより、色んなところへ行かなくちゃって思った。

この人生の限られた時間の中でどれ程の素晴らしい風景を観れるか、何人の人と交流するコトが出来るか、どれ程沢山の思い出を作れるか。
それによって人生の価値は決まるのでしょう。

人生の旅を美しく豊かにする為には、まず自分の心が豊かでなければならない。
そいう当たり前で大事な気持ちを思い出した。


何処かへ行きたいな。

村山由佳・著

この作家さんの本を読むのは初でした。
短編オムニバス形式の小説。
文章には癖がなく読みやすかった。

家族のひとりひとりの人生を、きっちり色や形を変え表現されていて、それぞれの人生が本当に現実味を帯びていて、物語りに強く引き込まれた。
切なく痛く辛く苦しい思いに胸がきゅっとなる。

出てくる登場人物たちは誰も決して幸せではない人生を歩んでいる。
だけど、ただ悲しく不幸なだけで終わらず、それぞれの登場人物に希望の光の一筋はちゃんとあって、それでも勿論切ないのに変わりは無いけれど、ほんの少し救われる。
登場人物への救いが読み手にとっても救いになる。そういう感じ。


読み出したら止まらず、読み終わった翌日は寝不足でしたねぇ。

読んでいて面白い小説とそうでない小説の大きな違いとは一体何なのだろうと最近考える。

宮本輝・著

関西に住む身として、馴染み深い道頓堀付近を舞台にしたこの小説は、とても心に沁みました。
幾重にも重なる様々な人生の個性が見事に繊細に描かれていて、いくつもの人生を疑似体験したかのような感覚を得ました。

宮本氏の情景描写はどの小説も本当に素晴らしいと思う。
道頓堀川の淀んだ水の感じ、それが朝と夜で違う表情に変わる様子。
人々が行き交う街の音も匂いも、そこにいる人々の声も聞こえてくるような。

戦後間もない日本を、自分という生き方を模索しながら生きている人々の力強さに励まされる。
良い小説でした。
かなり大人向けの小説ですね。

太宰治・著

主人公のダメッぷりに心底凹まされます。

何にも夢中にならず、誰のコトも信用せず、常に疑心暗鬼な男性の、とても痛々しく虚無的な物語。
ここまで駄目人間だともういっそ心地が良いくらいですね。

落ちていくときは何処までも落ちていける。

人間の危うい部分、孤独を好む反面人の温もりを必死で求める様子などが、あまり認めたくもないけれど共感出来る感じ。

この本は27歳になって初めに手にした本だったのですが、物語のラストで、主人公が廃人となってしまった年齢が27歳で、ちょっとゾッとしました。

太宰氏が自ら命を立つ前の最後の作品ということですが、最後の最後に自分の為に、何かを残したかったのかなぁと思った。

太宰治・著

思ったよりもかなり短編な物語でした。

人に信じてもらいたいと思うなら、まずは自分が人を信じなければならない。
そんな風に説いている物語なのかなぁと。
「信じるというコト」を、子供が読めば学べるし、大人が読めば思い出せる、そういう感じ。

色んな物事が屈折した今の世の中にはこういう当たり前のコトが伝わらないかも。

宮沢賢治・著

タイトルくらいは誰もが知っているであろう宮沢賢治氏の名作。
内容は全くと言って良いほど知らず、探りながら読んでみました。

やはり明治大正頃の作家さんの文章なので、馴染みのない言葉遣いに多少苦戦。
しかし、主人公が銀河鉄道に乗るあたりからの風景描写の美しさにはため息が出るほど感動。

今でこそ家にいながらテレビやインターネットで世界のコト、宇宙のコトを気軽に知ることが出来るけれど、この作品が書かれた頃は身の回りの情報も極小さなものだった筈なので、そんな時代にここまで世界を広く美しく表現出来るなんてちょっと考えられない。

とにかく美しい。夜空を旅する感覚がきっちり得られる。
宮沢氏の宇宙に対する憧れや思い入れが丁寧に伝わってきて、その世界観に安心して浸ることが出来る。
これぞ名作。お勧めです。涙無しでは読めませんでした。


今回買った文庫には「セロ弾きのゴーシュ」も収録されていて、これまた有名な作品であるにも関わらず読んだことがありませんでした。
すごく楽しく可愛く幸せな気分になれる物語でした。

湯本 香樹実・著

小説としてはかなりドラマチックでリアルさには欠けますが、とても好きな作品でした。

小学校6年生の主人公とその友人達が、今にも死にそうな一人暮らしのおじいさんを見つけ、そのおじいさんがいつ死ぬかをこっそり見張ろうと計画する…という、なんとも小学生らしい残酷な発想から始まる物語。

死がどういうコトで、どれ程辛く悲しいコトであるかを知らない人間というのは実に無邪気で残酷。
でも知らないというコトはそういうものであって、それが極普通。

だからこの3人の小学生男子が遊びがてら、おじいさんの死の第一発見者になってやろうと思いつくのも、凄く少年的だなぁと思った。


この作品の素晴らしかったところは、心理も風景もとにかく描写が細やかで丁寧だったコト。
登場人物の何気ない動きなどもさり気なく、でもそれが描かれているコトによって作品の風合いがより色濃く出ていてとても良かった。
少年達とおじいさんの会話ではぷっと吹き出してしまうようなコミカルさもあり、それぞれに悩みを抱える少年達の吐く言葉はとても胸に迫った。

子供というのは大人が思っているよりずっと深刻な悩みを抱えている。
大人は決してそれを笑い飛ばしたりしてはいけない。

大人になればどうしても薄れてしまう、だけど絶対忘れてはいけない感情が、この作品を通して甦って来る。

ラストは正直、この流れならそうなるだろう。という感じで納得だけど、そうはなってほしくなかったからちょっと残念だった。

文章から溢れてくる瑞々しさ、二度とは来ない夏の永遠の思い出。
切なく、温かく、やさしく響く良い物語でした。

この小説は10年以上前の作品で、映画化もされているとのコトなので、是非今度映画も観てみたいと思います。

よしもとばなな・著

過去に一度借りて読んでいましたが、今月文庫として新たに出版されていたので久々に読みました。
じっくり読んでも1時間かからない短編小説。

何となくホコリっぽくて、でもぬるま湯に浸かっているような心地の良い流れが最後まで続く。

人は人を愛することで、大きな幸せを得られる。
そういう当たり前のコトが、飾りすぎることなく綴られている作品。
読んでいるととてもまったりした気分になりますね。

なんとこの小説、来春映画化が決定したとのコトです!
これはちょっと楽しみです。

夏目漱石・著

「こころ」ですっかり夏目漱石文学に魅せられ次に手にしたのが「坊ちゃん」。
「こころ」よりも文章が読み辛かったので、なかなか読み進められず若干苦戦。

正直何てコトない物語なのだけど、やはり人の心理描写が面白い。
人間って、こういう生き物だよなぁ~と思わず感心してしまいます。

けれど、私がこの物語の主人公で作品を描くとしたら、とても扱いに苦労しそう…と感じる程、最後までイマイチこの主人公について掴みきれなかったし、この小説を通して作者が伝えたかったものは何だろう、とちょっと疑問に思ったり。

世の中で有名であるとされる作品に触れる時、私がいつも考えるのは「この作品が何故世の中の多くの人の心を捉えたのか。何故この作品はこれほどまでに評価されたのか。」というコトです。
自分が心から面白いと思った場合は、「たしかにこれは多くの人にウケる」とすんなり納得も出来ますが、そうでない場合そのような疑問を抱きます。
それを考えてみたところで、何か意味があるワケでもないのだけれど。

ま、余談ですな。

「坊ちゃん」よりはやっぱ「こころ」が断然お勧めですけど。

夏目漱石・著

夏休み時期なので、なんとなく普段読まないような小説を。
(夏休み時期なので っていう理由も意味が分からないが。)

これは中学か高校の国語で習いましたね。
国語の教科書には作品の極々一部しか掲載されていないので、何気に続きが気になっていました。

で、何年かぶりに読んで、とても感銘を受けました。
普通にかなり面白かったです。
現代人からすると、言葉の言い回しや、漢字の読み方など複雑な部分も多々ありましたが、それでもあっという間に小説の世界にひき込まれました。

人の心に眠るありとあらゆる感情が、ツボを刺激するかのように的確な言葉で表現されているコトにゾッとした。
読んでいて胸が詰まる程に苦しく、痛く、悲しい思いをした。

「先生」のとてつもなく長い長い手紙に、便箋に書くと何枚くらいになるんだろう…と仕様もないコトをついつい考えたりもしたけれど…。
最初この小説を手にした時は、途中で飽きちゃうんじゃなかろうかとも思いましたが、実際にはそれどころか夢中で最後まで読み終えてしまいました。

現代的な作品に飽きてしまっている方にはお勧めです。
ていうか、日本人なら読むべきだと思う。

著・宮本輝

宮本先生の本はこの数ヶ月の間に結構色々読ませて頂きましたが、この小説は展開がなかなかドラマチックな感じでした。
今まで私が読んできた作品は多分全部に近いくらい殆ど関西が舞台だったのですが、この作品は関東周辺が舞台…というか登場人物達が標準語でした。
それによって感じる非現実的な小奇麗さが、ある意味新鮮でした。
まぁただ単に私が関西人だから関西弁の方が親しみがあるってだけなんですけれど。

ふとした偶然が重なり男女4人がマンションで共同生活を送ることになり、やがて2組のカップルが成立するのですが、それぞれが抱える悩みや問題の波が次々と襲ってきて苦悩・苦戦する懸命な姿が温度のある文章で描かれていました。

人は結局いつでも誰かの為にしか生きる意味を見出せないのかもしれない。
それは時に幸せで温かく、時に残酷で恐ろしいものであるということを、物語の展開と共に読者に訴えかけている気がしました。

オトナっぽい小説でしたね、なかなか。

ドラマチックだなぁと思っていたら実際ドラマ化もされているようです。

9人の女性作家による短編小説集。

一冊にそれぞれの作家さんの個性を感じる作品が9つ詰まっているので、飽きることなく読み進められます。

やはり誰がどの作品を書かれているのか覚えてないんですけれど(笑)


暇だけどそんなに時間が無いって時に良いですよね、短編小説って。

読み応えたっぷり。
いよいよ最終章へ向けて、展開に動きが出てきた巻でした。
多少なりとも予想はしていても、かなり衝撃的だった。

早く7巻が読みたいです。
でも日本版が出るのにはまだまだ時間がかかりそう!

 

以前から気になっていた漫画です。
友人もーりんがついに買い始めて貸してくれました。

音楽大学を舞台に、個性溢れる音楽家の卵たちが繰り広げるユーモアと音楽の魅力溢れるストーリー漫画。
とっても面白いです。

ある程度知識を必要とする漫画を描くには、やはりそれについてちゃんと取材、勉強をするコトが大事だと思うんです。
そして得た知識を自分の中で消化し作品に反映するコトで、読む側にも充実感や満足感を与えられる。
この漫画はそれがきちんと出来ているので、多くの人から愛されているのだと思う。

それ以外の点ではとにかくキャラクター達の個性が素晴らしい。
ヒロイン「のだめ」は、その変態っぷりなくしてこの漫画は成立しない位素敵なキャラクター!
小説でも漫画でも映画でもドラマでも、そこに生きるキャラクター達の良し悪しで、作品の魅力は大きく左右されるものだなぁと思いました。

どちらかと言えば大人の為の漫画ですね。
音楽と漫画が好きな人にはお勧め

著・劇団ひとり

お笑いには然程興味のない私ですが、友人もーりんから借りて読んでみました。
一応テレビでも何度かネタを拝見させて頂いていたので、文章からも彼独特の粘り気のある雰囲気がもろに伝わってきました。

出だしから巧みに話しに引き込む引力に溢れた文章。

胡散臭さも良い味になり、とても個性的で面白い小説でした。
ただネタを練っていだけでは書けない優れた文章力。
当然好みにもよると思いますが、先入観なく名前も知らない小説家が書いたものだったとしても面白いのではないでしょうか。
「この人、変」って思う部分も沢山あるけれど、それこそ劇団ひとりさんだからこそ書ける、オリジナリティ溢れる作品でした。

普段小説を読まない人は、小説を読む面白さを見出せるかもしれません。
お勧めします。

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