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著・山本文緒

この小説ちょっと凄かったです。
ものすごく引き込まれました。

平和そうにみえても、一歩踏み込めば「異常」としか言えない家庭というのは世の中にいくらでもあるものですが、この物語の登場人物達の家庭もまさにそう。

周りから見ればどんなに異常な家庭環境であっても、その世界にいる人間にとってはそれが全てで、家庭の外の常識など意味を持たない。

極普通の家庭に育っていたら理解出来ないような家庭環境をすんなり納得させてしまうのは、ちゃんと理由が描かれているからだと思います。

肉親であっても、本当に憎んだり恨んだりするコトは、そう珍しいコトではない。
本気で復讐するコトだって出来る。
それが理解出来ない人はきっと普通に幸せな家庭に育っている証拠。
その分、良くない家庭環境で育った人にとっては、自分の状況とは違えど傷をえぐられる様な暴力的な物語かもしれない。


人間と言うのは良くも悪くも適応能力に優れている生き物であるというコトが皮肉を込めて丁寧に描かれていて、かなり面白かった。
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