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著:朝比奈あすか


電車の待ち時間が暇で短めの小説を物色していて、なんとなく手に取った作品。

はじめて読む作家さんは、まず文体に馴染むところから入る。

普通に面白い作品ではあったけれど、主人公の女性のプライドの高さに弱冠ついていけず、深いところでの共感が出来なかった。

「こういう風に育ったなら多分こういう考え方をするんだろなあ」くらいぼんやりとしか噛み砕けなかったので、夢中になる類の物語ではなかったです。

どんなヒトも挫折とは隣り合わせで、挫折することを想像するのは時として、実際に挫折してしまうよりも自分を小さくしてしまう・・・そういう部分についてよく描かれていたと思います。
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著:村上春樹

すごく不思議な物語。

言葉の表現が非常に彩り豊か。
今まで読んだどの作品よりも、比喩表現が冴えているというかキレている。

世界をあんな視点で眺めて過ごしたら、どんな毎日も退屈なんて感じないのではないかな。

最初は登場人物たちの心が読めなくて、どのヒトもなんとなく冷淡な雰囲気だったけれど、読み進めるほどに登場人物達のねじれた不器用な愛に、繊細なぬくもりを感じました。

文字を読むよりもメッセージを感じて楽しむ作品だと思う。
著・関口尚

二人の高校生の少年が、いつも通う映画館にいる女性店員へ恋をする青春物語。

映画の評論をネットに綴っているうつ病の女性が、その映画館の女性ではないかと疑い始め、接近していくほどに女性の素顔に迫ってゆき、やがて少年達の恋心に衝撃をもたらす。



非常に爽やかなタッチで描かれた作品でした。

高校生にしては台詞やモノローグがオトナっぽすぎるなと思ったし、日常で使わない言葉が多くて感情移入しづらかったけれど、物語は面白かったです。


村上春樹氏の超話題の新作『1Q84』BOOK1・2読みました。

まだハルキストとしては未熟な私なので、「今までの作品と比べると…」などという感想は述べることが出来ないのですが、夢中になって読んだことは確かです。

BOOK3以降があるのかないのか、今は一番それが気になっています。


そしてまた読書魂に火が付いた私は、家にある小説を読み返したりしています。
著:江國香織

ともだちのふーたんから借りて読んでみました。
江國さんの短編集はたしか1冊だけ持っていると思いますが、ちゃんとした長い物語を読むのは初めて。

物語の最初から引き込まれる作品でした。

狂気にも似た恋心を抱いて、何にも捕らわれず、何処にも留まらず、ただ愛する人との再会のために生きる女性と、その女性の宝である一人娘との視点が交差しながら展開していく物語。

異常なまでの恋心には共感し難いところですが、この物語ではその異常な母親を冷静に見つめる娘の心の内が非常に読者にとって救いになるなと。

ラストはちょっと、納得いかない感じだったけど、面白かったです。
今度はまた違う作品も読んでみたいところ。


著・吉本ばなな

この自選選集、4巻を買った日付を調べたら去年の8月で、時の流れの速さを感じました。

今回は3巻を購入。
この巻は私の好きな作品だらけでした。

キッチンは言わずもがな名作として有名な作品だし、ムーンライト・シャドウも良い。
そしてハードラックも大好きな作品。

N・Pは初めて読む作品だったのですが、これまたすっごい良かった。
「ノース・ポイント」という意味らしいです。

書き下ろし短編小説の「野菜スープ」も、とても良い作品でした。

ばななさんの小説は、人の死について描かれているものが、宗教について描かれているのと同じくらい多い。

決して避けられないもの、必ずいつか起こることだからこそ、なにひとつ嘘の無い感情で書かれた文章にとても共感するし、救われる部分があります。
著・よしもとばなな

ばななさん久々の新作!

しかもこれ、「ハチ公の最後の恋人」のその後が描かれていて、ハチ公~好きな私には最高でした。

なんとなく丸みを帯びた文章に、相変わらずの切れ味のするどさがあいまって、なんとも心地よく読み終えることが出来ました。

ハワイの美しくも力強い景色とか、風が身体をすりぬける感じとか、文章を通して情感たっぷりに伝わってきて、すごく良かった。

ますますハワイに行きたい気持ちに火がついてきました。
ハワイ行こう。うん。



著・小栗左多里&トニー・ラズロ

ダーリンは外国人シリーズの最新刊。
今回は二人の間に誕生したあかちゃんについて。

今回は外国人うんぬんよりも、ひとりの女性として読みごたえありました。
出産未経験の女性なら大抵、一体妊娠出産はどれほど大変なんだろう、と考えると思うのですが、「こんなに大変そうなら子供なんて産みたくない」っていうのと「こんなに子供が愛らしいなら早く欲しい」っていう気持ちを両方味わえる一冊なのではないかと。

思わず吹き出してしまうシーンも多々あって面白かったです。

これから子供を授かろうとしている人には、楽しいし色々勉強も出来るからオススメ。


著・宮本輝

宮本氏の長編小説。

宮本先生の作品は人間の心情を繊細且つリアルに描いているものが多いけれど、この作品は少し人物の心の部分にはフィルターがかかった感じでした。

それがこの作品の中の秘密により大きな影を落とす効果も感じられた反面、感情移入という点では焦点を絞りにくかったです。

でも小説としてはかなり面白かったです。

人間が如何に愚かで恐ろしい生き物であるかを見事に描いていると思います。
著・吉本ばなな

私が読んだ、ばなな先生の小説の中で、最も切なくて幸せな恋の形が描かれている作品だと思う。

こんなにも誰かを愛せたら、愛されたら幸せだと思う。
二人の恋模様に胸がきゅーんとなります。

勿論ばなな作品なので普通の少女漫画みたいな恋物語ではないけど、根っこにあるのは、どんな少女漫画よりも純粋で可愛くて綺麗なものだなと思いました。

ハネムーンとかアムリタが好きな人にオススメ。
著・吉本ばなな

ばなな先生の随分前の作品です。
以前に一度借りて読んだことがあった作品を文庫で購入。

この作品のあらすじをどういう風に説明すればいいのかがは非常に難しい。

大事な友人を亡くした、どうしようもない喪失感。
そこから少しずつ蘇生していく主人公の物語。

深い眠りの世界にいるような、不確かなものに囲まれながらの生活から、少しずつ現実の世界に向かっていく感じに、ほんのりとした感動があります。

物語り自体は地味だけど、ゆっくりと言葉を飲み込んでいくことである種の癒しを得られる作品だと思う。



著・川上弘美

短編集なのですけど、表題作の『蛇を踏む』が凄い。
安いホラー映画よりよっぽど怖い。
正確に言えばホラーではないのだけれど、一体どういう人生を歩めばこういう物語が出てくるのかなと。
その非凡な発想力に思わず唸ってしまいます。

この作品は芥川賞受賞作品らしいです。
当時この作品を評価するのは相当難しかったのではないかと想像します。
他と比べようがない作品だと思うので。


あとの2編『消える』『惜夜記』も凄い物語です。
ファンタジーさも兼ね備えていながら、どちらも人間の心に潜む残酷さを滑稽に描いている気がします。


著・小栗左多里

小栗さんの漫画はまだ読んだことがないのだけれど、「さおり&トニー」シリーズのエッセイはどれも大好きです。

今回はイタリアが舞台なのだけれど、今まで知っていたイタリアとは違う、もっと身近で温度のあるイタリアを感じることができました。

トリュフ探しで、豚について力説するトニーが大好きでした。


著・川上弘美

川上さんの長編小説。
ひとつの因縁に基づいた関係が複雑に交差する恋愛小説。

登場人物の個性が強烈。
恋愛の描写は現実的な部分と、ファンタジー的な部分が極端ながら同居している。
それを違和感無く読ませられるのが川上さんの文章力、という感じ。

とても好きなのに終わりへ向かう恋の流れを止めることができない切なさや、決して自分のものにはならない人を強く愛する気持ちが丁寧に描かれています。

面白かったです。
著・村上春樹

なかなか不思議な雰囲気の短編集でした。
どの物語も、通常の世界の色よりもひとつトーンを落とした感じ。
暗い…とまでは言わないけれど、なんていうか重たい。

どれも短い作品ばかりなのに、あんまりページが進まなかった。
村上作品は短編より長編の方が好きかも。


著・川上弘美

様々な愛の形を描いた短編集。
まぁどの作品もそれぞれ普通の恋愛小説とは一線を画した物語でした。
どの物語にも共通するのは、気持ちの深さ。
でも川上さんの文章だとどんな深刻な事態でも、わたがしのように軽く描かれいる。

読み終えたあとにはどの作品にも寂しい気持ちが残る短編集でした。



著・川上弘美

10篇からなる連作集。
この小説の構成はほんとうに凄い。

前後するそれぞれの時代の中に、共通して登場する「ニシノユキヒコ」。
ある女性には「ニシノくん」と呼ばれ、また別の女性には「幸彦」と呼ばれ、更に別の女性には「西野くん」、「ユキヒコ」、「ニシノさん」…そんな風に様々な女性から様々な時代に様々な呼ばれ方をする男性。

彼と関わった女性10人のそれぞれの物語は、独立した短編としても充分楽しめるものでありながら、オムニバス作品としてこれほど優れた物語は他にない!と思うほど面白かったです。

この小説の素晴らしさを私では到底うまく説明も出来ませんが、とにかく凄いと思いました。
著・川上弘美

『センセイの鞄』を読んで以来、すっかりファンになりました。
『おめでとう』は12の作品が収録された短編集。

作品ごとにきっちりと色が違って、作品ごとに登場人物がそれぞれしっかり生きているなと。


悲しいわけでも嬉しいわけでもなく何故か胸がきゅんとなって、今にも涙がこぼれそう。


そういう瞬間が優しく描かれているのがとても好きです。
決してメルヘンなわけではないけれど、少女漫画を読んでいるときと似た気持ちになります。
著・村上春樹

村上氏の短編集。
表題作の『TVピープル』をはじめ、どの物語もとても不思議な設定にも関わらず、極めて日常的視点で描かれていて、なんとも面白かった。

村上氏の小説はどれも、淡々とした文章なのに頭の中にねっとりと絡みついてしばらく離れない中毒性があると思う。
あまりにも非凡な発想力に毎度驚かされます。


女優、中谷美紀さんのインド旅行記第3弾。
北インド、南インドに続き三回目のインド旅行では、旅慣れからくる油断によりガイドブックを忘れたり、飛行機に乗り遅れたりと弱冠波乱含みだった様子。

それでもどんな場面でも冷静にやり過ごすあたり、肝の据わった女性だなぁと感心せずにはいられない。

洗練された文章力、表現力で、今回もインド旅行をしたような気分を味わわせて頂きました。


インドに行ってみたいような、やっぱり怖いような。
著・川上弘美

『センセイの鞄』のもうひとつの物語。
「わたし」が「センセイ」に語る「昔の話」。

素敵なイラストと、温かみのある文章にほっこりしました。

『センセイの鞄』を読んでいなくても、独立したショートストーリーとして読める小説だと思います。
著・吉田修一

新宿でオカマと同棲する主人公(男)の、風変わりな日常の物語。

設定が非凡なので、読み始めはついていき難かったけれど、登場人物それぞれに人間味があって引き込まれました。
特にオカマの閻魔ちゃんは優しくて寛大で料理も得意で、とても素敵。

主人公はダメ人間なのだけど、閻魔ちゃんに嫌われない為により一層のダメ人間を演じている部分が垣間見えて、大事な人に対して自信がなくて自分を表面に出せない弱い部分なんかに共感しました。


テーマ的には決して爽やかなものではない筈なのに、読後感はやけに爽やかな物語で、私はとても好きでした。
著・角田光代

どこにでもあるごくフツーな家庭。
家族同士では隠し事を一切しないというモットーを掲げ、それがきちんと守られている幸せな家庭…な筈だが、実はそれぞれが誰にも言えない秘密を抱え過ごしていた。というようなストーリー。

登場人物それぞれの視点で物語が切り替わるオムニバス形式の小説。
それぞれが抱く秘密を覗きみる感覚で面白かった。
著・よしもとばなな

久々の新作。
ハワイが舞台の短編集。
表題作の「まぼろしハワイ」がとても好き。
やはりばななさん大好きだなーと改めて思いました。

多くの人を魅了してやまないハワイという場所の持つパワーが、物語を通してビシビシ伝わってきて、ますますハワイに行きたくなりました。
著・川上弘美

ここ最近読んだ小説の中で特に感動した小説でした。
「センセイ」と「わたし」の穏やかで絆の深い恋模様に思わずきゅんとなる作品。

台詞とモノローグの境界線を曖昧にした文章が印象的。



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